佐々木法律事務所~離婚問題のページ
離婚の種類には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚があり、まれですが家事審判法24条にもとづく調停に代わる審判による離婚も手続きとしてはあります。
金銭給付・親権で合意ができているのなら協議離婚となりますが、金銭給付の部分は公正証書にしたほうが確実です。
離婚条件が整わない(または相手方が離婚そのものに同意しない)場合は家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停が不成立のときに離婚訴訟を提起できます。相手方が行方不明の場合は調停を経ないで公示送達による訴訟提起をします。できあがった調停調書や判決謄本を戸籍係に提出します。
離婚態様は戸籍に記載され、「*月*日協議離婚」 とか 「*月*日離婚の判決確定」となります。判決とか調停成立の記載を避けたいときは、当事者の合意で協議離婚扱いとすることもあります。
別居から離婚に至るまでの生活費を婚姻費用として相手方に請求することもできます。ただし別居の原因が請求者側にある場合は相当の減額がされることがあります。
離婚の主たる原因が相手方にある場合は慰謝料を請求します。調停・訴訟では同時に請求し、合意ないし判決でその有無が確定しますが、何も決めないまま離婚した場合は3年で時効にかかります。
なお、不倫など他にも賠償義務者がいる場合は相手方との連帯債務になり、両名から各々満額を獲得できるわけではありません。
夫婦の共同生活で築いた財産の清算です。調停・訴訟では同時に請求し、合意ないし判決でその有無が確定しますが、何も決めないまま離婚した場合は2年で時効にかかります。
住宅ローン支払と自宅居住がよく問題になりますが、ローン支払する人をローン借り主以外の者に変更(たとえば夫は別居し夫名義の住宅ローンを離婚後は妻が支払うなど)しても銀行には主張できません。また、訴訟手続きではオーバーローン住宅については名義変更も認められないようです。
未成年の子がいる場合は親権者を決めないと離婚届けが受理されません。対立した場合は最終的には判決で決められますが、その過程で未成年者本人からの意見(15歳以上の場合)、家庭裁判所調査官による面接調査が参考とされます。
離婚後に親権者を変更することもありますが、父母だけでは変更できず裁判所が関与します。子の福祉が最優先され、相手方より条件が多少上回るようになった程度では変更は困難です。
親権者となった方から相手方に対しては養育費を請求します。金額が合意できないときはいわゆる「算定表」の示す額を基準に特殊事情で加減することになります。養育費は再婚など将来の事情変更により増減請求できます。
「3号分割制度」は平成20年4月以降の厚生年金保険料納付記録を国民年金3号被保険者(専業主婦など)側に半額分割するものです。離婚当事者の一方のみで手続きできます。「合意分割制度」は平成20年3月以前の納付記録をも対象として当事者の合意による割合で分割するものです。分割を受ける側は国民年金3号被保険者に限りません。合意ができない場合は家庭裁判所の調停等で決めることになります。
いずれの制度も離婚後2年以内に手続きする必要があります。
有責主義と破綻主義
相手方が離婚に同意しないときには最終的には離婚訴訟を提起し、民法770条が定める不貞等の離婚原因を主張することになります。ここで、離婚の原因を作った側(有責配偶者)からの離婚請求を認めないとするのが有責主義、破綻になっていれば離婚は認めるというのが破綻主義ということになります。日本の裁判所は基本的に有責主義であり、一定期間の別居があれば離婚できるということはありません。わずかながら有責配偶者からの離婚を認めた事例がありますが、長期間の別居・未成熟子がいない・相手方に十分な経済的保護の提供などの条件が伴っています。